「遺言(ゆいごん)って、どの作り方が良いの?」
そんな疑問をよくいただきます。実は民法は 第960条〜第1027条 で遺言の作り方を細かく決めており、条文どおりに作らない遺言は無効になってしまいます。
ここでは 自筆証書・公正証書・秘密証書 の3方式を、条文の言葉を確かめながら、やさしい言葉で比較してみましょう。
【方式どおりでない遺言は無効(民法960条)】
「遺言は、本法に定める方式に従わなければ、その効力を生じない。」
たった一文ですが、とても重いルール。ここを守れるかどうかが、遺言書の“合否ライン”です。
⬛︎ 自筆証書遺言 … 手軽さ◎・方式ミス△(民法968条)
・全文・日付・氏名を自書し押印(968条1項)本文はぜんぶ手書き+最後に印鑑 が大原則
・財産目録はパソコンでもOK(968条2項)2019 年改正で財産目録だけはパソコン作成・通帳コピー添付などが認められました。ただし 各ページに署名・押印 が必須なので忘れずに!
・保管制度で検認不要に(法務局における遺言書の保管等に関する法律11条)法務局の「遺言書保管制度」を利用すると、民法 1004 条の検認手続きが免除されます
⬛︎ 公正証書遺言 … 確実さ◎・コスト△(民法969条)
条文に忠実なポイントは、
・証人2名以上の立会い
・遺言者が口授し、公証人が筆記・読み聞かせ・承認を受ける
・公証人・遺言者・証人が署名押印
○ メリット … 方式ミスほぼゼロ・原本は公証役場で半永久保管・検認不要でそのまま手続きへ
× デメリット … 手数料がかかる・証人 2 名の手配が必要
⬛︎ 秘密証書遺言 … 内容を伏せたい方向け(民法970条)
条文に忠実なポイントは、
・遺言書を封印し、封紙に遺言者・公証人・証人2名以上が署名押印
・遺言の旨を申述し、公証人が封紙に記載して全員が署名押印
○ メリット … 内容を誰にも見せずに作成できる
× デメリット … 作り方がやや複雑・自筆証書と同様に検認が必要・実務上の利用は少なめ
【まとめ】
◆ 民法960条:「方式どおりでない遺言は無効」と明記
◆ 自筆証書遺言(968条):全文自書+押印。財産目録は PC 可。法務局における遺言書の保管等に関する法律の保管制度で検認不要に
◆ 公正証書遺言(969条):公証人+証人 2 名。検認不要で確実
◆ 秘密証書遺言(970条):内容秘匿できるが手続きが複雑
目安として、
・確実さ重視 = 公正証書
・費用重視 = 自筆+保管制度
・内容秘匿 = 秘密証書
「自分に合う方式はどれ?」と感じたら、オンライン無料相談をご活用ください。
※本記事は2025年7月9日時点の民法(第960条〜第1027条)および法務局における遺言書の保管等に関する法律に基づく一般的情報です。個別案件については、必ず司法書士・弁護士などの専門家へご相談ください。
司法書士法人ののがき事務所